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276話

「胆?今の私に足りないのは胆だけさ!」ビール一箱を買い込んで交番に直行し、車を交番の前に停めると、ビールを抱えてどっしりと中に入っていった。以沫が当直室でぼんやりとしていて、私が入ってくるのを見ると、少し驚いた様子で言った。「本当に来たんだ?」

「もちろんさ」私はビールを彼女の前のテーブルに置きながら言った。「さっき焼き鳥屋で串焼きも注文してきたんだ。もうすぐ届くよ」

「いいじゃない」以沫はビールを一本開けながら言った。「あなたは酒も、話も、おつまみも全部用意してきたってわけね。私は耳だけ貸せばいいのかしら?」

私は歯でビールの栓を開け、以沫とボトルを軽く合わせて言った。「まずは一口飲も...