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272話

病院から空港に向かう道中、私はずっと卓岚に対して父親を許してあげるよう婉曲的に説得していた。できるだけ遠回しに言ったつもりだが、卓岚はその意図を察したようで、最終的にはこの話題を避けるようになった。飛行機に乗ると、卓岚から先に口を開いた。

「秋寒、知ってる?おととい季秋からの手紙を受け取ったの。彼女、あなたになりすましてたわ」

「季秋が手紙を?」私は少し驚いて尋ねた。「どんな内容だったの?」

「うーん」卓岚は椅子の背もたれに寄りかかりながら言った。「彼女は女の子に届けさせたの。『守護者』って署名があって、あなたの口調を装って書いたみたいね」

私は何と言えばいいのか分からなかった。あの手...