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183話

「卓岚の言うとおりだ。一番辛い時に彼女に助けを求めようとは思わなかった。彼女からのプレゼントを尊重せず、お金に換えるために売ってしまった。どんな理由があっても、結果は変わらない。腕時計を売ったのは紛れもない事実だ。言い訳なんて何の意味もない」

その夜、俺はまた阿哲とエイミーのバーで会った。喉が枯れるまで酒を飲み、阿哲は冗談めかして、今の俺はアドゥの歌を歌えば絶対に感情が出るだろうと言った。ふと頭の中である曲のメロディが流れ始めた。ギターを抱えてステージに上がり、リズムに合わせて静かに歌い始めた。「君に会うのを待ち続けた これまでの年月を/ゆっくりと『久しぶり』と言いたかった 風が長い髪を通り...