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145話

冉静さんは「ベテラン司会者」の名に恥じず、少しでも怪しい兆候があれば瞬時に察知する。二人目のゲストが話し終えるや否や、彼女はすかさず言葉を継いだ。

「先日フォーラムで話題になった騒動については私も耳にしています。ちょうど会場のゲストからその件について触れられましたので、秋社長、このフォーラムでの炎上について、皆さんに何かお伝えしたいことはありますか?あるいは、何か説明されたいことは?」

この言葉は実に巧みだった。特に最後の「説明」という言葉の選び方が絶妙で、表向きは私に対して皆への説明を迫り、公正な立場から私に説明を促しているように見せかけながら、実際には私に発言の機会を与えてくれたのだ。...