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73話

「チーン」というチャイムが突然に鳴り、思わず手に持っていたカップを落としそうになった。

高叔母さんの方では水の音が止まったようだ。音を確認しているのだろう。

叔母とは別れてから30分も経っていないはず。叔母のはずがない。

私は自分の部屋に隠れ、少しだけドアを開けて様子を窺った。

高叔母さんがバスタオルを羽織って出てきて、ドアを開けながら叔母と私の名前を大声で呼ぶ。開けると、フルーツの盛り合わせと新聞を持ったホテルのスタッフだった。

高叔母さんはそれを受け取ってリビングのテーブルに置くと、体をくねらせながら戻っていった。

私はすぐにそっと出て行き、カードキーで戻る時には音を大きめに立...