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666話

蝸牛のように遅々と進む車の流れに従って駐車場に入ると、私はエンジンを切って言った。「まだ三十分もあるから、地下鉄の駅まで送るよ」

盛楠は「いいわ、今日は疲れたでしょう。車で少し休んでて」と言うと、自ら近づいてキスをして「じゃあ行くね。しっかり英気を養っておいてね」と告げた。

私は彼女の腕を引き止めて「ダメだよ、もう少し一緒にいて。今日は妙に誘惑してくるけど、前はそんなことなかったよ。ちょっと様子が違うんじゃない?」

盛楠の頬がわずかに赤くなり「誘惑なんてしてないわよ。真昼間から、あなたみたいに気が乗るわけないじゃない。ただあなたの機嫌を損ねたくなかっただけ」と言った。

私は「でも、すご...