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608話

「わかったわかった、あんたは生きてるんだから、あんたが嫌だって言うのに無理やり連れて行けるわけないだろ?」

夜中の二時を過ぎていた。私たちが出かけようとすると、フロントの女の子が一瞬きょとんとして、二度ほど咳払いをした。入り口にいた二人の警備員が近づいてきて、「深夜の外出は記録が必要です。ご協力をお願いします」と言った。

盛楠が言った。「ふざけるな。宿泊登録や訪問者の記録ならわかるが、ホテルから出るのに記録が必要なんて道理があるか」

フロントの女の子は少し怒った様子で言った。「これは規則です。今は違法行為の取り締まりが厳しくなっていて、ホテル宿泊者の出入りはすべて記録し、身分証明書の確認...