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587話

私は電話を切り、暇を持て余している池北と目を合わせた。池北が言う。「お前だけで帰れよ。帰ったら、うちの家族に状況を説明してくれ。ずっと黙っているのもよくないからな。俺にしばらく独身生活を楽しませてくれよ」

話している間に、二人の看護師がカートを押して入ってきた。体温を測り、薬を交換し、池北の体を裏返して拭いてから出て行った。

池北が私に言った。「あの細身の看護師ちゃん、気づいた?俺、彼女に惚れちゃったみたいだ」

「マジかよ、お前頭おかしくなったのか?たった二日で惚れるって」と私は言った。

池北は答えた。「入院したばかりの時から、ずっとこの子がICUで付きっきりでさ。一歩も離れず、手術後...