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586話

「まだ駄目だ。隣の県の病院に池北を訪ねに行かなきゃならない。今日の君の供述を池北と照らし合わせて、嘘をついていないか確認したいんだ」阿雲は少し躊躇ってから言った。

隣の県までは高速道路がなく、四十分以上かけてようやく到着した。

着いたのはまだ五時前で、二人は私と一緒に車に座ったまま、病院の中庭で待機していた。阿雲だけが池北を探しに上の階へ行った。二十分ほど経って阿雲が戻ってきた。彼の表情を見る限り、あの池北というやつも私と同じようなことを話したんだろう。

阿雲は車に乗り込むと私に言った。「お前ら二人とも、くだらないチンピラだな。供述の細かい部分が合わない点が多くて、明らかに適当に話を作っ...