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555話

「わかった、さっさと寝ろよ。明日の昼には着くから」と私は言った。

駅に着いて降りても、盛楠の姿は見当たらなかった。あの女、隠れるのが上手いなと思った。

私は改札を出ずに、王二を連れて地下通路から別のホームへ移動し、国境へ向かう別の鈍行列車に乗り込んだ。車内で切符を買ったため座席はなく、二人は車両の仕切り部分に立ったまま目的地まで行った。その間も盛楠が通り過ぎる姿は見えず、彼女が追跡を失ったのではないかと考えていた。

到着後、計画通りなら駅のコインロッカーから荷物を取り出すはずだった。中には私と王二の別の身分証が入っているはずだが、受け取りコードがまだ届いていなかった。

公衆電話を見つけ...