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19話

退屈な待ち時間の中で、私はタバコに火をつけた。乱れる感情を少しでも落ち着かせようとしてのことだ。

そのとき、階段の方から人の話し声と足音が聞こえてきた。この時間帯にはひときわ大きく響く。私は慌ててタバコを消し、身を隠した。

闇の中、果たして五、六人が連れ立って交差点に向かって歩いてくるのが見えた。その中の一人は琴おばさんで、歩き方を見る限り、酔いつぶれているようには見えなかった。

私は暗がりに身を潜め、様子をうかがっていた。

前に出ようか迷っていると、残りの数人が次々と別れていき、最終的に琴おばさんと上司の二人だけが残った。

私の鼓動が一気に早くなった。飛び出して琴おばさんを家に連れ...