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903話

安二虎は心の準備ができていた。横に身をかわすと、安海の薪割り包丁は空を切り、ドンと地面に大きな穴を叩き出した。全力で安二虎を仕留めようとしていることは明らかだった。安二虎は理解した。安海は本気で自分を殺そうとしているのだと。そのため、細心の注意を払いながら言った。「安海兄さん、話し合いましょうよ。まず落ち着いて、ちゃんと話そう」

「このろくでなしが、話し合いだと?ふざけるな!今日は、お前か俺、どちらかしか生き残れん!」安海は顔を真っ赤にして怒鳴った。

安二虎は濃い酒の匂いを嗅ぎ取った。安海が酒を飲んでいたのだ。普段なら、安海がこんな命がけの勇気を持つとは思えなかった。安海はまったく動じず、...