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886話

先頭にいた男は、安二虎と龍仙児が逆に彼らを一本取られたことに驚き、考えれば考えるほど敵に回せない相手だと悟った。冷静さを取り戻し、降参する道を選んだ。安二虎の前まで歩み寄り、拳を合わせて一礼する。

「このお兄さん、俺たち三人は目が曇っていて偉い人と分からなかった。お兄さんのように落ち着き払って、女を抱きながら男と勝負できる奴なんて、この辺り百里の中にも二人といない。俺は心から敬服するぜ。俺は張寒、秀水鎮で兄弟たちから寒兄と呼ばれてる。お兄さんのお名前は?」

安二虎は自称「寒兄」というこの若造を冷ややかに眺めながら、以前小尼僧の静慈を助けた時のことを思い出していた。あの時、水牛と張兵が白状し...