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607話

彼は塵の頬が既に赤く染まっていることに気づいたからだ。これこそ欲求不満の表れではないか!

「阿弥陀仏、罪深い、罪深い。施主、もう言わないで!」仏様を持ち出して内なる渇望を隠す以外に、了塵師太は安二虎にからかわれて何と返せばいいのか分からなくなっていた。この男の言葉は直接的すぎるが、一言一言が心に染みる。

安二虎に再び女として—それも充分に女として—扱われて以来、彼のことを思わずにはいられなくなった。静心が安二虎に言ったことはすべて真実だった。今では安二虎のことを考えるたびに、うっとりとしてしまう。彼が突然現れることをいつも期待していた。山を下りて薬草を摘みに行くときも、偶然彼に会えることを...