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389話

「俊博、どうしたの?あなたも山に入って、お兄さんと一緒に薬草を採りに行きたいの?」翠芳は俊博の心に何か思いがあることに気づき、急いで前に出て尋ねた。俊博は「違う」と言い、ただ兮兮が自分から離れるのが惜しいだけだと答えた。それを聞いた翠芳の心は複雑に絡み合った。この純粋で優しい王家の若様を見ていると、心が痛むのだった。しかし安二虎からは、彼の体を早く回復させるには、心楽しく静養して鍛錬するのが一番だと告げられていた。だから、今は兮兮に真実を打ち明けさせるわけにはいかなかった。

安二虎と赵兮は三十分後に山に入った。山に入るとすぐに、赵兮は手綱を解かれた野馬のように花の香りで満ちた山中を駆け回り、...