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2347話

彼の言葉にエミール夫人は美しい瞳を見開いて驚いた。安二虎というこの男がこっそり潜り込んできたのは自分のためだったとは思いもよらなかった。胸の内に喜びが込み上げる。まさか自分の評判が外でそれほど良いとは。結局、自分を慕う男性もいるのだ。そう思うと、彼女の瞳は輝きを増した。アキノはいつも他人の妻に目をつけるが、自分にも惚れる男がいるのだと。彼女はこれまでのパーティーで誰も自分を指名してくれないことに落ち込んでいたのだ。

今や、イケメンが自分のためだけに来てくれたと思うと、とても気分が良かった。もちろん、この場所で安二虎に抱かれるつもりはない。他の人もいるし、アキノの言いつけでは、この城の特定の部...