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1937話

「小姐のアリンに少し申し訳ないと思うけど、この地方の若い男女はそういう面では自由だからな。二人同時に安二虎と関係を持っても、別に珍しいことじゃない」

三十分後、山を登り始めた。ここで安二虎はようやく、どの道を進むべきか分かった。毎晩通っていた中央の道でもなく、左右の道でもなく、右側の道からさらに分かれる小道を辿るのだ。蛇行しながら山を上っていく。言わば、一番目につく道はすべて見せかけで、基地の人間でなければ確実に間違えるだろう。

これはアバニエフが実に狡猾だということの証だった。最初に右側の小道を選んでも、二百メートル登ったところでまた二つに分かれ、今度は左側の小道を選ぶ。さらに登ると三つ...