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1916話

安二虎には彼女とこれ以上話す時間がなかった。だが、彼はすでに確信していた。この女は自分を裏切ることはない。

彼に抱かれた女は誰一人として彼から離れたがらないものだ。だから彼は確信していた。今夜、立て続けに二回も抱いたこの女は、絶対に誰にも今夜謎の男に二度も抱かれたことなど口外しないだろうと。彼女は絶対に黙っているはずだ。

安二虎は彼女が眠りについたのを確認すると、堂々とその部屋を後にし、来た道を戻って洞窟の外へと出た。外で見張りをしていた二人はまだ熟睡中で、安二虎は得意げに笑いながら山を下り始めた。あの滑りやすい巨岩まで来ると、彼は下を見下ろし、身を躍らせて夜の闇へと消えていった。

モー...