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1795話

しかし彼も理解していた。今はまさに全塔市が戒厳令下にある時期で、山に入るなど不可能に近く、ひとまずここに身を隠し、騒ぎが収まるのを待つしかない。人の家に身を寄せるからには、何かを提供しなければならない。安二虎は今の自分には、腕っぷしの他に価値あるものなど何もないことを知っていた。

だから、男勝りの女を徹底的に抱いてやろうと考えた。比類なき快楽を味わわせれば、彼女はより一層自分に心酔するだろう。もちろん、男勝りの女が自分を裏切ることはもうないと知っていた。彼女のお腹には既に自分の子がいるのだから、この先ずっと切っても切れない関係なのだ。

実際、男勝りの見た目を除けば、この女は悪くない。特に悪...