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96話

「私の妹はずっと逃げることばかりだった人間だった。

何事も他人任せで、余寧は当然のことながら驚いていた。

彼女の口からこんな言葉が聞けるなんて、本当に珍しいことだ」余寧はソファに座っている方青を見た。朝の日差しが彼の上に降り注いでいる。

手には何とフェイスパウダーのようなものを持って、一塗りずつ自分の首に塗っていた。

よく見れば、ただの日焼け止めのようだ。

余寧はそれを見て、思わず安心した。「ふん、じゃあ拭目して待つとしよう」

そう言うと、余寧はそのまま立ち去った。

方青の手にあるのは実はフェイスパウダーではなく、冷月から渡された傷用の軟膏だった。

女性が好むものは、やはり男性とは違う。

薬...