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59話

冷月が痕跡を辿って進むほど、方青が通った方向を見失っていった。

この奥に入ると、地面は比較的乾燥しており、藪もない。

あたり一面が古い樹林だ。

足跡など何も見つけられない。

辺りがどんどん暗くなり、冷月はとりあえず休む場所を探すしかなかった。方青を追いかけるのに必死になりすぎたのだ。

彼女は何も持っていなかった。

任務で出かけたわけではなく、ただH市に債権回収に戻っただけだ。当然、道具など持ち合わせていない。

冷月は火も起こせない。摩擦で火を起こすにも、この漆黒の闇ではどうしようもない。

携帯電話も持っていない。

冷月は顔を曇らせた。この夜の闇の中、この場所はかなり危険だ。

危険なのは、他の人...