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993話

この男はかなりの実力者で、林川は全く歯が立たない。銃があれば別だが、林川の三丁の銃のうち一丁は今日提出してしまい、残りの二丁も手元にない。

四角い顔の男が林川の胸を蹴り上げると、まるで疾走する車に跳ねられたような衝撃が走った。林川の両足は地面から完全に離れ、後ろのテーブルに向かって飛ばされた。映画のワンシーンのように、一人の男が別の男を蹴り飛ばすあの光景そのものだった。以前、林川はそれを誇張だと思っていた。普通の成人男性なら痩せていても50キロ以上はある。一蹴りで人を飛ばすなど、あり得ないと。

しかし今、林川は悟った。本当にそんな人間がいるのだと。

誇張でも何でもなく、林川はテーブルに激...