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975話

とにかく、今日はマジでヤバいシーンだった。

林川は車から降りると、急いで中へ入るでもなく、外に立ったまま周囲の美しい景色を眺めていた。姿悦の周りはコンクリートの地面で、フェンスで囲まれており、隣には社員寮のような建物が二棟建っていた。その横には小さな庭園と、それほど大きくない小さな建物が数棟あった。

旭兄は両手をポケットに突っ込み、姿悦の看板を見上げたまま黙っていた。

浩子と白楓の二人は何やら話し込んでいて、その口調からかなり感慨深げだった。

「見ろよ、うわっ、フェラーリだ。マジでカッコいいな」

浩子が手を伸ばして指さすと、林川は反射的にその方向を見た。暗赤色のフェラーリ488スーパ...