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855話

「浩子は林川の目をじっと見つめ、そのまましばらく見続けてから、淡々と言った。

「あなた、衝動的すぎたわ。一人で秦悦を探しに行くべきじゃなかった。あの夜、もし鶉がいなかったら、本当に命を落としていたかもしれないのよ。どうして分からないの?一人で行けばどうなるか分かっていたはずなのに、それでも行ったなんて」

林川は歯を食いしばった。

「別に衝動的でも何でもない。兄貴がベッドに横たわっているのを見て、気持ちが収まらなかっただけだ。もう一度チャンスがあっても、俺はやっぱり行くさ。少なくとも、行ったことで知りたかったことの多くを知ることができた。今回ばかりは、本当に諦めがついたよ」

秦悦があの『ピエ...