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766話

「こういうのは、豚肉を食べたことがなくても、豚が走るのを見たことはあるだろう?要するに、心構えの問題さ。俺は刑務所にも入ったことがあるし、お前らより経験も多いから、この手の精神力では誰にも負けないんだよ」と旭兄は口をとがらせた。

「さあ、少し寝ておけ。四、五時間の道のりで、夜中の二時か三時には着くからな」

車内は静かになった。先ほどの出来事を、誰も気に留めている様子はなかった。

かなり時間が経ち、うとうとしていたところを誰かに揺り起こされた。目を開けると、旭兄が口にタバコをくわえ、小声で言っていた。「着いたぞ。お前らはどこに行くんだ?送っていくから、そのまま車で帰るよ」

林川はあくびを...