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745話

林川は密かに胸を撫で下ろした。今のはあまりにも危険だった。幸い、ずっと外の気配に注意を払っていたからこそ、こんなにも間一髪で済んだ。

周夢涵の方に目を向けると、林川の視線が彼女の上を行き来した。彼女は林川を睨みつけ、赤くなった顔を俯かせた。きっと先ほどのことを思い出しているのだろう。一筋の透明な雫が、彼女の太ももの内側を伝い落ちていた。

彼女は何事もなかったかのようにティッシュを一枚取り出し、そっと拭き取ると、ゴミ箱に捨てた。

「気持ち良かった?」

林川が小声で尋ねると、侵略的な視線を彼女の太ももに固定したまま離さなかった。彼女は鼻から「うん」と小さく返しただけで、それ以上は何も言わな...