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625話

彼女は微笑み、くるりと向きを変えて忙しく立ち回り始めた。

初めて赤ちゃんがこれほど邪魔だと感じたが、林川はどうすることもできなかった。楊潔は彼唯一の身寄りで、今は刑務所に入ってしまった。外に残された赤ちゃんには頼る親戚もなく、誰も面倒を見なければ、数歳の子どもがこの社会でどうやって生きていけるのか、想像するだに難しかった。

秦悦の様子を見ると、赤ちゃんの話をする時、目には濃い母性愛が溢れていた。考えるまでもなく、素直で物分かりのいい彼は、知らず知らずのうちに秦悦の心の奥底にある母性を呼び覚ましていたのだ。

林川は本当に時間が経つにつれ、秦悦が彼を手放せなくなることを恐れていた。林川は彼女...