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542話

「旭兄」は林川に対して、当然いい顔をしなかった。彼は冷ややかに鼻を鳴らすと、真っ先に酒場の中へ歩き出した。林川と白楓が彼の後ろに続き、白楓の急ぎ気味の呼吸から、今の彼の緊張した気持ちが読み取れた。

中に入るなり、旭兄は手に持っていた旅行バッグを床に投げ、ジッパーを開けた。中には真新しい現金が山積みになっており、一束一束きれいに揃えられ、銀行の封も解かれていなかった。

彼は手で指し示した。「百五十万だ。一銭も足りない額じゃない。全部ここにある。お前の兄貴に伝えろ、俺はもうお前らに何も借りがないってな」

その顔は、雨でも降りそうなほど険しかった。

それだけ言うと、旭兄は身を翻して立ち去ろう...