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534話

彼女の妖艶な視線が、林川を上から下まで舐めるように見つめていた。

今夜の秦悦は、あまりにも色気に溢れていた。体にぴったりとフィットする短いワンピースを纏い、太ももがかろうじて隠れる程度の丈。その滑らかで長い両脚には肌色のストッキングが覆い、ロングブーツと合わせて、まさに女王様の風格だった。

鮮やかな色の口紅を塗った唇、そして耳たぶに揺れる銀色に輝く大きなピアス。最初に目にした瞬間、林川は息をのむほどの美しさに圧倒された。

林川の心臓がぎゅっと縮み、喉が乾いたまま玄関に立ち尽くした。

秦悦は魅惑的な笑みを浮かべながら、横に立って林川に入るよう手で示した。

林川は無意識に顔の仮面に触れ、部屋の中へ...