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526話

「林川は旭兄貴のようなトラブルメーカーの腕前を疑うことなどないが、そもそもそれは林川が来た本当の目的ではない。

張平の顔に浮かぶ穏やかな表情を見て、なぜだか、林川の不安な気持ちは突然静まっていった。どんな状況に直面しても、彼はいつも林川に安心感を与えてくれる。

林川にはわかっていた。たとえ前方に荒波が立ち、猛烈な嵐が吹き荒れていても、彼はいつも林川の前に立ちはだかってくれるのだと。

かつて心の中で密かに憧れていた人が、ただの口先だけの人間であるはずがない。

彼の魅力は人を惹きつけてやまない。以前の林川は、あれほど完璧な秦悦がなぜ張平を選んだのか理解できなかったが、今はわかる。彼のあの責...