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487話

料理を作るためにキッチンに向かう準備をした。どれくらい自分が料理をしていなかったか思い出せないほどだ。

林川は彼女が一番聞きたいのは、ただ一言の「誕生日おめでとう」だということを知っていた。

シーフードなんて、今まで触れたことがなかった。幼い頃の家庭環境では、林川がこういったものに手を出すことは許されなかったのだ。スマホで調理法を検索し、その指示に従って作ることにした。

さっき焼肉店でカニを買った時に、ついでに調理してもらえばよかったと今更ながら思う。

すぐに竹節エビを蒸し、見栄えよく盛り付けた後、醤油とわさびをかけて、一品目が完成した。残るはカニだが、手際が悪く、予想していたのとはかけ...