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472話

林川は不安に思い、ナンバープレートを写真に収めた。

秦悦は林川に一瞥を送り、優しい笑みを浮かべた。林川は彼女に頷き返すと、身を翻して立ち去った。

十数メートル歩いたところで振り返り、タクシーのテールランプが遠ざかり、やがて見えなくなるまで見送ってから、ようやく視線を戻した。人気のない場所を見つけてマスクを外すと、林川は顔をしかめながら腕をさする。ずきずきと痛みが走っていた。今は病院に行って背中の傷を縫ってもらうことしか頭になかった。

すでに疲労困憊していたにもかかわらず、林川は紳士的な振る舞いを保ち、散歩するような足取りで彼女たちを見送ったのだ。

タバコを二本立て続けに吸い、林川は白楓に電話を...