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462話

「その唇は艶やかで、まるで滴り落ちそうなほど色っぽい」

勝算がなくても、林川が手を出さないという理由にはならなかった。

あの男を倒した後、林川は右手にフルーツナイフを握りしめ、隣の男に向かって突き刺した。その瞬間、頭の中にはただ一つの思いしかなかった。一度動き出したら、自分は倒れるわけにはいかない。

林川は力尽き地面に倒れ込み、王デブが秦悦を辱める様子を目の当たりにしたくなかった。

男は顔色を変え、慌てて横に身をかわした。フルーツナイフは彼の袖に小さな切れ目を入れただけだった。それでも男は息を呑んだが、次の反応を示す間もなく、林川は左手の釘抜きハンマーを彼のこめかみに向かって振り下ろした。

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