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412話

林川は彼を放し、手に握っていたトンカチが相手の手に直撃し、鉄パイプを叩き落とした。林川の手からもトンカチが飛び、続けて彼は口を開いて相手の耳に噛みついた。

「うわああっ!」

男は血走った目を見開き、苦痛に悶えて叫び声を上げた。凶暴な表情で林川を押しのけようとする。

恐怖が男を襲い、一瞬でその気迫が消え失せ、必死に林川を突き放そうとした。

塩辛い血が口の中に流れ込む。林川は思い切り引っ張り、男の耳から大きな肉片をもぎ取った。口を開けて血と共にその肉片を地面に吐き出し、林川はケタケタと笑い出した。見えなくても、今の自分の顔がどれほど狂気に満ちているか想像できた。

一同は恐怖で凍りついていた。残りの...