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368話

「この鈍器、人の頭を叩かなければ、基本的に命に関わらないわ。一発食らえば、誰も立ち上がれなくなるけど」

幼い頃、林川の父は小さなトンカチを手に、九人を打ち倒したことがあった。

しかもトンカチは規制対象の刃物ではなく、持ち運びも便利だ。不意打ちされれば、誰も防ぎようがない。

白枫は立ち上がり、トンカチを腰に差した。「行くぞ」

林川はバーの入口に立ち、深く息を吸い込むと、にこやかに雲上摇へと歩き出した。

道中、多くの人が林川たちを好奇の目で見つめ、指をさして囁き合い、中には笑い出す者もいた。

時間が早く、雲上摇はまだ営業前で特に閑散としており、店員たちが三々五々入口で煙草を吸っていた。...