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172話

秦悦は眉をひそめ、嫌悪感を顔全体に表した。

それでも渋々口を開け、料理を口に運んだ。

美女を前にして、王という太った男に少しでも食欲があるはずがない。彼にとって、秦悦こそが最も美味な料理なのだから。

数口食べると、秦悦は無意識に物置部屋の方向に目をやった。

林川は彼女に安心させるような目配せを送ったが、彼女に見えたかどうかは分からない。

酒が三巡り、空が徐々に暗くなってきた。

半時間ほど食事をした後、王はわくわくした様子で手を擦り合わせながら秦悦を見た。「悦悦、お腹いっぱい?」

秦悦は唇を引き結びながら頷いた。「ええ、満腹よ」

王は彼女を椅子から一気に抱き上げた。

王はゲラゲラと笑い、上機嫌な...