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1025話

「あと30分くらいで行くよ」

白は余計な質問はせず、「うん」と短く答えて電話を切った。

ウズラも出てきた。彼は銀色の暗証番号付きケースを手に提げていたが、中身は分からない。持ち方を見ると相当重そうで、林川も何が入っているのか聞かなかった。

林川とウズラの二人だけで、ホテルを出て、ウズラの大きなランドローバーに乗り込んだ。帰り道、車内は静かで、二人はほとんど会話をしなかった。どう言えばいいだろう、それぞれに思うところがあったのだ。

30分ほどかけて、バーの前に到着した。この時間、中は非常に静かで、客もほとんどいなかった。車を停めると、ウズラは暗証番号ケースを提げて先に中へ入っていった。

白楓、浩...