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86話

自分から敢えて接触の可能性を避けているからには、あまり心配することはないだろう。

しかし時には天の配剤は人の思惑を超えるもの。天の意志とはつまり、人の強い意志には抗えないということか。

蘇櫻は少し昼寝をした後に目を覚まし、もう横になっていられなくなって体を起こした。自分の体にはバスタオル一枚が巻かれているだけだった。

しかもタオルはかなり湿っており、布団もずいぶん濡れていた。これは全て自分がかいた汗によるものだ。

蘇櫻は浴室で何が起きたのか必死に思い出そうとしたが、どうしても曖昧な影のようなものしか思い浮かばない。何か重要なことを忘れているような気がしてならなかった。

目が覚めたからには、...