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66話

李有金は蘇櫻の体から漂う石鹸の香りや、自分の身体に寄りかかる柔らかな感触に、心が揺れ動くのを感じていた。

両手で必死に股間のものを押さえつけ、場違いに頭をもたげないよう警戒していた。

車がゆっくりと動き出し、町へと向かう。蘇櫻にとっては通り過ぎるだけだった小さな町を、初めて訪れることになった。

今や町は昔ほど賑わっておらず、若者のほとんどは大きな県城へと出て行き、年配の人々や、あまり出世できなかった若者たちだけが、この田舎に留まっていた。

町は小さく、約二キロほどの公道が町の中央を貫いているだけで、その道の両側にさまざまな小さな商店が並んでいるだけだった。

田舎で必要なものはほとんど揃っており...