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62話

蘇桜はただ知らないふりをして、そのまま食事を終えた。

李有金は急いで立ち上がって片付けに取りかかり、背中を向けながら一言:「小桜、先に部屋で休んでいいよ。暑かったらエアコンつけてね」

蘇桜は「うん」と返事して、部屋に戻った。ドアをしっかり閉め、エアコンをつけると、涼しい風が心地よく感じられた。

蘇桜が涼しい服に着替えないのには理由があった。夏休み前の数日、台風が来て、ちょうど咲き始めていた街中のアベマキの花粉が一気に舞い散ってしまったのだ。

運の悪いことに蘇桜もその影響を受け、体中に小さな赤い発疹ができてしまい、仕方なくジーンズの長ズボンと長袖のカバーシャツを着ていた。

今は汗でべたべたし...