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159話

振り向いて蘇桜の手を取った。白く滑らかな小さな手。温かい。心地よい。

蘇桜は穏やかだった。自分のことに関しては常に後悔などしていない。たとえ父親が反対しようとも、隣にいる年上の男性と一生愛し合うことを邪魔することはできないのだから。

ただ、彼女は夫を見たとき、彼の精神的な緊張感を感じ取った。だからこそ手を差し伸べて彼を安心させようとしたのだ。

しかし、年上の夫は以前とは違っていた。自分が安心させようと手を差し伸べても、以前のように避けることはなくなった。今は自分の気持ちに応えてくれる。互いに通じ合えるようになったのだ。

この感覚はあまりにも素晴らしかった。自分の努力が報われたような気持...