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1077話

他人の愛する妻を自分の女として扱い、さらには自分の指示に従わせた直後に、彼とすれ違うという体験。李有金のその時の複雑な心境は、言葉では表現し難いものだった。

だが、そんな感覚も李有金にとっては悪くはなかった。

劉威が入ってくると、向かい合わせに歩いてきた背の高い李有金と目が合った。

工具袋を背負い、Tシャツにはマンション名が印刷されている李有金を、劉威はただのマンション作業員だと思い、特に気にすることなく李有金とすれ違い、足早に進んでいった。

李有金は歩みを少し遅くし、劉威が一階のエレベーターを開けて上がっていくのを聞いてから、入り口で少し立ち止まった。

さっきまで李有金は遊びが過ぎたかと心配...