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730話

こうして、牛四は夢にも思わなかったことを成し遂げ、墨蘭の刺繍した帯を手に入れることができた。

「三兄さん、譲るわけにはいかないんだ。僕だって好きな人に気持ちを伝えたい。そうしなければ、本当に苦しくて耐えられないんだ」

牛三が牛五に対して、なぜ牛四に少しは譲らないのか、どうして牛四が墨蘭を追いかけるのを許してやらないのかと責め続けていたとき。

牛五はこんな言葉を口にしたのだ。

牛五のその言葉を聞いて、牛三はようやく気づいた。今日で十八歳になった牛五は、確かに正式に女の子を追いかける年齢になっていたのだ。

だが、牛五が好きな女の子とは一体誰なのだろう?

いったい誰が、牛五にここまで命を...