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692話

「たとえこの呉寧様が祭司の息子が連れてきたお客様であろうとも、軽菊はあなた様に気安く近づかせるつもりはありません」

まさかこの軽菊が、目の前の大人物の側近を務めているとは思いもよらなかった。

この状況を見るに、この「天仙お姉さま」は少なくとも「梅」「蘭」「竹」「菊」という四人の守護公主の女将のひとりなのだろう。

「うむ、そうね、確かにそういうことだわ」

本来なら、この「天仙お姉さま」は軽菊のこのような物言いに腹を立てるだろうと思っていたが、彼女はほんの少し躊躇しただけで、そのような振る舞いを許してしまった。

見たところ、「天仙お姉さま」はこの軽菊という娘をとても信頼している...