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435話

「彼女をこっちに引っ張ってこい、先に服を脱がせてやる」

すぐ後に続いた豹兄貴の命令に、俺の心臓が締め付けられた。俺はずっとゆっくりと近づく方法を考えていた。豹兄貴が最初に手を出した瞬間に、痛烈な一撃を加えるためだ。

俺はゆっくりと十字路地に近づいていった。この十字路地には確かに以前は明かりがあったはずなのに、今はどうしたことか、灯りはとっくになくなっていて、真っ暗闇になっていた。

この人気のないうえに四方八方に通じる路地の入り口では、誰かに見つかっても逃げるのは容易いはずだった。

俺はこの路地の入り口が逃げやすい場所だと知っていたからこそ、慎重に近づいていた。草木を驚かして豹兄貴を逃が...