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170話

心の中では確信できなかったが、多少の不安を感じ、迷わず車を降りて中へ足を踏み入れた。

塾の受付はすでに終業していて、ロビーには清掃のおばさんが一人だけいた。私は尋ねた。「すみません、先生たちの事務室はどこですか?」

おばさんは廊下を指さして言った。「突き当たりの階段を上がって三階です」

「ありがとうございます」お礼を言うと、すぐに廊下の奥へ向かって走り出した。

できるだけ速く動きながら、何か変だという予感が心の中で膨らんでいった。三階に着いて階段のドアを開けると、かすかな唸り声が聞こえてきた。誰かが鼻で声を出しているような音だった。

胸がドキンと鳴り、すぐにその音の方へ探し進んだ。音...