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90話

しかし今、彼女は立ち止まることができない。背中には生死不明の蕭沐を背負っているのだから。

必死に水面へと泳ぎ上がろうとするが、今になって初めて人一人を背負って水中を進むことがどれほど困難かを思い知った。

やっとのことで蕭沐を引き上げながら水面に浮上する。

全身の力が抜け切った状態で水に浮かびながら、それでも蕭沐が沈まないように彼を掴み続けなければならない。

上から二人が顔を出したのを見た白起は、ようやく安堵のため息をついた。

しかし二人が水たまりの中でピクリとも動かないのを見ると、また焦りが募る。

「この二人とも、どんなに疲れていようとも今は休んでる場合じゃないだろ!早く岸に上がっ...