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69話

蕭沐は慌てて振り返り、向かい側を照らしたが、何も見えなかった。

彼が再び前を向いた時、おそらく緊張しすぎて目の錯覚を起こしたのだろうと思った。

しかし蕭沐がパトカーの方向へ数歩歩いたところで、背後から何かに見つめられているような感覚に襲われた。

思わず振り返ったが、そこには何もなかった。ただ月明かりが小川を優しく照らし、言葉にできないほど純粋で美しい光景が広がっていた。誰がこの小川にたった今まで一体の死体が横たわっていたなんて想像できるだろうか。

「蕭沐、何をぐずぐずしてるんだ、早く来い」

「はい、今行きます」

蕭沐は我に返り、急いでパトカーの方へ歩いていった。すぐにパトカーは砂埃を上げて走り...