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261話

陸沢も無線機を握りながら起き上がり、窓の外を見た。今回は柳寒烟が彼女を制止しなかった。彼女自身も目の前の光景に衝撃を受けており、他のことに気を配る余裕などなかった。

遠くの地平線上に、突如として一群の建物が現れた。それらの建物は様々な様式が混在し、まるで中華の伝統的な家屋と欧州の古城が融合したかのように見えた。

「なんてこと!この砂漠にこんなにたくさんの建物があるなんて?ここは人跡未踏の地域じゃなかったの?現地の人々も伝説を恐れて立ち入らないって聞いていたはずよ」

中東の戦地によく訪れていた女性ジャーナリストが驚きの声を上げた。彼女は何度も中東で戦地報道を行っており、D国を通過したことも...