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119話

広々とした寝室は暗闇に包まれ、宋陽は母のかすかな体の香りを嗅ぎ取ることができた。

それはゲランの花の淡い芳香に、熟れた女性特有の体の匂いが混ざり合った、独特で人を惹きつける香りだった。

宋陽は緊張しながら深く息を吸い込み、心の高鳴りと落ち着かない気持ちを必死に抑えながら、寝室の中の物音に耳を澄ませた。

「はぁ、はぁ、はぁ」母の荒く早い呼吸音が、かすかな艶めかしさを帯びて、静かで暗い夜の中で異常なほど鮮明に聞こえてきた。

宋陽はそっとドアを閉め、「カチッ」という音と共に鍵をかけた。

暗闇に向かって探るように尋ねた。「母さん…もう…寝たの?」

「い、いいえ!小陽!どうしてここに?こんな遅くに、私は...